TOEIC®に寄せて その1 ―TOEIC®との出会い―

この記事では「ブラスト英語学院講師」の梅田が、TOEIC®について様々な角度からつづります。「TOEIC®って何?」という方、「昇進のためには少なくとも730点取らなきゃ…」という方、「履歴書に書けるように600点は取りたいなぁ」という方、「スコア900点をどうしても超えたい!」という方、さらに「TOEIC®のスコアが高い人って本当に英語ができるの?」というような方まで、様々な英語学習者の皆様にお読みいただければ、誠に嬉しく思います。私のTOEIC®との関わり、TOEIC®スコアアップの対策など、様々なTOEIC®に関わる記事をお届けしたいと考えております。

■初めてTOEIC®という言葉を耳にしたのは1997年!

私がTOEIC®という言葉を初めて耳にしたのは1997年のことでした。その当時私は、オーストラリアのメルボルン大学で応用言語学の修士課程を学んでいました。履修科目の一つにLanguage Testing(言語テスト理論)というものがありました。その科目では様々な言語テストの概要と背景理論などを学び、英語テストとしては、日本の英検や自分も受けたことがあるTOEFLなども取り上げていました。

その授業の最中、ある教授が

Oh, there is another English test. TOEIC®, well, TOEIC® is communicative …(あ、もう一つ英語のテストがあります、TOEIC®、そう、TOEIC®はコミュニケーション能力を促進する…)

と発言したのです。それがTOEIC®という言葉を最初に耳にした瞬間でした。「トーイック」というテスト名を聞いた私は、「TはTest で E はEnglishかな?communicative って先生が言ってるくらいだから、CはCommunicationかな?」と頭の隅でちらっと思いました。その科目では、言語テストを作成するための理論の理解が主題だったため、TOEIC®について触れたのはその時だけでした。

もし、私が英語教育の仕事に進まなければ、私にとってTOEIC®は単なる英語テストの一つにとどまり、この記事を書いていることもなかったでしょう。そう考えると人生とは不思議なものです。

■TOEIC®模擬試験を指示する上司はなぜ笑った?

翌年の1998年、なんとか修士号を取得した私は日本に帰りました。ある英語学校に職を得ることができ、そこでTOEIC®と再会したのです。

その英語学校では、上級者対象にTOEIC®対策クラスを設けており、私はそのクラスを受け持つために、本番試験と同じように作られたという触れ込みの市販のTOEIC®模擬試験を受けるように、上司に指示されました。その模擬試験本を見て、私ははじめて、TOEIC®がTest of English for International Communicationの略だということを知ったのです。そして、英語圏ではあまり知られていないけれど、日本の英語教育業界ではTOEIC®が「これからの英語テストの成長株」とみなされていることも知りました。

いまでこそ、本屋さんの英語書籍の売り場でTOEIC®関連のテキストを目にしないことはないといえますが、1998年当時はTOEIC®対策の書籍は、日本の会社からはあまり出版されていませんでした。私が取り組むように指示された模擬試験本も、英語圏の出版社のものでした。

模擬試験を受けるように指示した上司は「君にTOEIC®がどういうものか、先入観なしで体験してほしいから、何も事前準備はしないでね。フフフ」と前もって言われていたので、私はあたまがまっしろの状態で模擬試験の冊子を手にしたのでした。余談ですが、なぜ彼が「フフフ」と笑っていたのかは、模擬試験を終えた後に分かることになりました……。

■TOEIC®の問題形式を知る!

それまでに英語力を測るためのテストとして、私はTOEFLや オーストラリアのHSCという試験などを受験したことがありました。こうしたテストは、いずれも大学などの教育機関の入学資格を得るために必要な試験であり、対策しなければ良い点数が取れないものでした。

TOEIC®はTest of English for International Communication(国際コミュニケーション英語能力テスト)というタイトルがついており、大学院の授業で耳にした TOEIC® is communicative …(TOEIC®はコミュニケーション能力を促進する…)という教授の言葉からも、私は「会話能力の試験などもあるのかな?」と漠然と思っていました。

当日、TOEIC®模擬試験を受けた英語学校の教室には、CDラジカセと模擬試験の冊子が用意されていました。開始前にくだんの上司がやってきて、「本番試験と同じようにしてほしいから、リスニングとリーディングの間に休憩は取らないでね。フフフ」とやはり、彼は笑いながらいいました。そして、私はTOEIC®の模擬試験を始めました。

TOEIC® Listening & Reading Test には、スピーキングやライティングの問題はないこと、約2時間の「長丁場」のマークシートのテストであることをその模擬試験を受けてはじめて理解しました。

そして、TOEIC®は会話力の試験はないけれども「コミュニケーション能力を促すテスト」であることもその模擬試験を通じて感覚的に理解しました。メルボルン大学の先生が授業の時に言ったことは正しい意見だと思いました。「なぜ、リスニングとリーディングしかないのにコミュニケーション能力を促すのか?」については、おいおい触れていきたいと思います。

■TOEIC®模擬試験を終えて分かった上司の笑いの理由!

2時間のTOEIC®模擬試験を終えて思ったのは、「疲れた!頭が回る。マークしすぎで手がつかれた…!眠い……」でした。模擬試験を終えた私に上司はいいました。「疲れたでしょ?フフフ」私はやっと彼の笑いの意味を理解したのでした。彼は模擬試験を終えて燃え尽きる私の姿を想像して思わず微笑んでいたのでしょう。

そう、TOEIC®は確かに「疲れる試験」です。模擬試験であろうとも本番と同じように受験するととても疲れます。TOEIC®受験の経験がおありの方は私に賛成してくださると思います。それまでに受験したどんな英語のテストよりもTOEIC®模擬試験は疲れました。

不思議だったのは、疲れるけれども、その疲れはとても「心地よい疲れ」に感じられたことです。英語教育業界において、TOEIC®に関わるお仕事をしている方はたくさんおられます。皆さん、この「心地よい疲れ」の爽快感に惹かれているのかもしれないなと思います。

今回は、私と「TOEIC®との邂逅」について書かせていただきました。次回は、模擬試験を終えた私が理解したTOEIC®の思うところについてお知らせいたします。最後までお読みいただき誠にありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

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